ビデオ会議疲れと空間知能化

ビデオ会議,疲れませんか?

毎日のようにビデオ会議があります。最初の頃は思わぬ発見や特有の緊張感で面白がってやっていましたが,なんだろう,疲れてきた・・・どこが違うのでしょう?

 

一番の違いは,沈黙がただの沈黙になってしまうことではないかと思います。対面での会議での沈黙も気まずいですが,今考えるとあの瞬間はただの無言タイムではないのだと気づかされます。資料をめくる音,なにかメモをとるしぐさ,PCを閉じたり開いたりしながら,様々なモダリティでトークンのありかを共有する時間なのかもしれません。けっして無駄な時間ではなかった。ところがビデオ会議では,本当にただの無音時間。画はみえていても,茫々とした歪がない空間を前にただ時間が過ぎているのを待つだけの時間になります。

 

この感触は,電話が有線の家電話から,携帯に代わったとの感じによく似ています。有線の電話での会話では,無言であっても互いの気配が伝わる感じがありました。聴覚の範囲では,むしろ無線デジタルの方がリアルなはずなのに,無音はただの無音になりました。「物理的につながっている」という事実と「そこに存在している」という感覚の結びつきは,我々の認知のしくみに深く刻まれているようです。

 

感覚として存在を情報化し,時間・空間を超えて伝える技術ー空間知能化の研究は,これからますます重要になっていきそうです。